今日ご紹介するのは、弁護士・谷原誠さんの著書『いい質問が人を動かす』(文響社)です。裁判や交渉の最前線で数え切れないほどの「問い」と向き合ってきた著者が、人を動かす力の源泉を「質問」に見出した一冊です「いい質問」が人を動かす。
この本を開くと、こんな疑問が浮かびます。
──なぜ「質問力」が、いまこれほどまでに求められているのか?
「相手に本音を話してもらえない」
「部下や子どもに言っても聞いてもらえない」
「自分自身がなぜ動けないのか分からない」
そんな経験、ありませんか?
本書が教えてくれるのは、**人を動かすのは命令でも説得でもなく、たった一つの“いい質問”**だということ。
なぜ質問力が人生を変えるのか
質問とは、相手に考えさせ、行動を促す「仕掛け」です。
歴史を振り返れば、ニュートンの「なぜリンゴは落ちるのか?」という問いから万有引力が生まれ、フォードの「車を動かせないか?」という発想からベルトコンベヤー方式が誕生しました「いい質問」が人を動かす。
質問は文明を進化させ、ビジネスを変革し、そして人間関係さえ動かしてきたのです。
著者自身も弁護士として、議論で相手を打ち負かすより「どんな気持ちでいるのか?」と尋ねたときに初めて、本当の意味で相手を理解できた経験があったそうです。
結論はシンプル──人を動かすには、命令ではなく「質問」なのです。
次の一歩:今日、身近な誰かに「最近うれしかったことは?」と聞いてみてください。
情報を引き出す「オープン」と「クローズ」の質問
情報収集において、質問は2種類に分けられます。
- オープン・クエスチョン:「この本はどうでしたか?」
- クローズド・クエスチョン:「この本は好き?嫌い?」
オープンは相手に自由な答えを促し、クローズドは端的な答えを求めます「いい質問」が人を動かす。
著者が若手弁護士の頃、依頼者に「どうしたいですか?」とオープンに聞いたことで、本音を引き出せたことがあり、逆に「裁判に勝ちたいですか?」とクローズに聞けば、表面的な答えしか返ってこなかったかもしれないようです。
質問の使い分け一つで、相手の答えの深さが変わるのです。
次の一歩:会話で「なぜ?」を連発するのではなく、「どの場面で?」「どうやって?」と聞き換えてみましょう。
人に好かれる「いい質問」の法則
質問には、人間関係を深める力もあります。
心理学者カーネギーは「人は自分で思いついたことには喜んで従う」と説きました。つまり、答えを押しつけるのではなく、相手に考えさせる質問こそが人を動かします。
例えば、部下に「なぜできないんだ?」と詰めると関係は悪化しますが、「どの部分が一番難しかった?」と聞けば、自然と本音を語ってくれるのです。
人は“理解されたい”生き物。いい質問は、相手の心を開く鍵なのです。
次の一歩:今日の会話で、相手が話しやすくなる質問をひとつ用意してみてください。
自分を変える質問──セルフクエスチョンの力
質問力は、対人関係だけでなく自己成長にも役立ちます。
著書の中で「自分に投げかける質問」が人生を変えると語っています「いい質問」が人を動かす。
「私は本当にこの仕事に満足しているのか?」
「今の行動は、将来の自分にプラスになるのか?」
こうしたセルフクエスチョンは、目の前の行動を選び直すきっかけになります。著者自身も「依頼者の最大の利益とは何か?」と自問したことで、仕事のスタンスを大きく変えることができたそうです。
次の一歩:寝る前に「今日一番感謝したことは何か?」と自分に問いかけてみてください。
まとめ
質問には、相手を動かし、信頼を得て、成果を生む力があります。
- 命令より質問
- クローズドよりオープンを意識
- 他人だけでなく自分にも質問
落ち着いた会話の中で、あなたが発する一つの質問が、明日の人間関係やキャリアを変えていくかもしれません。
次の一歩
- 家族や同僚に「最近うれしかったこと」を聞いてみる
- ビジネスで「なぜ?」を「どのように?」に置き換える
- セルフクエスチョンを習慣化する
引用元・参考文献
- 谷原誠『「いい質問」が人を動かす』文響社「いい質問」が人を動かす
- Dale Carnegie, How to Win Friends and Influence People
- Dorothy Leeds, The 7 Powers of Questions
- ディスカヴァー・トゥエンティワン刊『その気にさせる質問力トレーニング』


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